自然主義文学の代表的作家・徳田秋声()の同名小説を水木洋子()が脚色し、成瀬巳喜男が演出した作品。生まれ()つき気性が激しく、そのくせ情にほ()だされやすい女が、次々と男に()捨てられながらも()生きてい()く姿を、距離をおいて凝()視する。強い女を描くこと()には定評のある成瀬監督だが、これほど荒々しく終始感情をむき出しにするヒロインは()珍しい。成瀬との()絶妙のコンビを誇る主演の高峰秀子は、その意志の強さを具現したような肉体で()、やや陰影を欠く主人公をはじけ飛ばすように演じ、他作品でのきめ細かな名演とは違った味わいを残す。路地裏の()物売りの声や拍子木を()打つ音など、音声の表情も実に豊かである。